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相続した千葉の実家が売れない…6つの理由と現実的な出口戦略

「相続した実家、早く手放したいのになかなか売れない…。」

こうした状況に悩む相続人の方は少なくありません。

売れない原因はいくつかのパターンに分かれており、原因によって取るべき対処法がまったく異なります。

この記事では、「売れない6つの理由」を整理したうえで、売却以外の選択肢も含めた「出口の見つけ方」を、行政書士・宅建士の立場からわかりやすく解説します。

目次

相続した実家が売れない6つの理由

相続登記が済んでいない(名義が亡くなった親のまま)

不動産を売却する際、亡くなった親名義のままでは買主へ所有権を移転することができません。

不動産会社に仲介を依頼しようとしても、現在の所有者が確定していなければ契約を結ぶことができず、事実上、売却活動をスタートさせることすら不可能です。

実家を売るためには、まず「相続登記(名義変更)」を済ませて自分の所有物にすることが絶対条件となります。

また、これまでは相続したとしても名義変更を先延ばしにされている方も多かったと思います。

しかし、すでに知っている方も多いと思いますが、法改正により、令和6年(2024年)4月1日から「相続登記の申請が義務化」がされました。 

この義務化により、相続を知ってから3年以内に登記を行わずに放置すると、10万円以下の過料(罰則)が科されるリスクが生じています。

「面倒だから後回し」は、法律違反となってしまいますので、注意が必要です。

相続人が複数いて、全員の合意が取れていない

不動産が相続人全員の「共有」状態になる(または遺産分割協議が終わっていない)場合、その不動産を売却したり、処分したりするためには、原則として共有者(相続人)全員の合意が必要となります。

1人でも反対する人や連絡が取れない人がいれば、手続きを進めることができません。

そのため、相続がまとまらず放置されているうちに代を重ね、甥や姪などが相続人になってしまうケースも見受けられます。

この場合、被相続人との関係が希薄で、自分が空き家の相続人であることすら知らないことも多く、連絡を取って合意を得るハードルがさらに高くなります。

また、合意が取れず「誰も管理していない状態」のまま放置されると、建物はどんどん老朽化します。

結果的に危険な空き家として「特定空家等」や「管理不全空家等」などに認定されるリスクが高まり、余計に買い手がつきにくくなるという悪循環に陥ってしまいます。

建物が古く、買い手の融資が通らない

船橋市の調査によれば、市内の空き家の6割以上が昭和56年(1981年)以前に建築された物件です。

つまり、多くの空き家が「旧耐震基準」で建てられており、国土交通省の全国調査によれば、売却のハードルとして「住宅の傷み(30.5%)」や「住宅の耐震性(15.6%)」が上位に挙がっています。

これらの老朽化した旧耐震の住宅が適切に管理されないまま放置されると、特定空家等(危険な空き家)になるおそれもあります。

旧耐震基準の物件や建物の劣化が激しい物件は、担保評価が低くなり、金融機関の住宅ローン審査が非常に厳しくなる、あるいは融資不可となるケースが一般的です。

また、千葉郊外のJR沿線の西部・南部地域では人口流入が続く一方で、東部・中部・北部地域では高齢化が進み人口が減少するなど、不動産需要の「地域差」が明確に表れています。

千葉郊外の旧市街や農村エリアでは買い手自体が少なくなるため、「立地の弱さ」に「ローンが通らない古い家」という条件が重なることで、一般のファミリー層向けに売却することはさらに困難となっているのが現状です。

接道・再建築不可の問題がある

建物を新たに建てる場合、原則として「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない(接道義務)」という建築基準法のルールがあります。

道路に全く接していない土地(袋地)や、細い通路を通らないと敷地に入れない旗竿地などでこの基準を満たしていない物件は「再建築不可」となり、今ある古い家を壊して新しい家を建てることができません。

「土地を購入して、自分の好きな新築を建てたい」と考える購入者にとっては、このような土地はメリットが非常に薄くなります。

船橋市の調査でも、空き家を賃貸・売却する上での課題として「再建築不可(道路付けの悪さなど)」が挙げられており、「所有者等が売却の意思を示しても買い手がつかない」「金額で折り合いがつかない」という理由で売れないという厳しい現実が指摘されています。

千葉県内の郊外に見られる古くからの集落や、農地から無計画に宅地転用されていったようなエリアでは、建築基準法が厳格に適用される前に家が建てられたケースが多くあります。

そのため、現代の法律に照らし合わせると「違法状態(既存不適格)」となってしまう物件が多数潜んでおり、相続して初めて「自分の実家が建て替えできない土地だった」と気づくケースも多く見受けられます。

価格設定が相場より高く、市場の需要とズレている

実家を相続した子ども世代にとって、実家は思い出が詰まった場所ですよね。

そのため、「親が大切にしていた家だから」「昔はもっと価値があったはずだ」といった感情的な思い入れが先行し、周辺の市場相場を無視した強気の価格を設定してしまうケースが多々あります。

船橋市の調査でも、空き家にしておく理由として「満足できる価格で売れそうにない(12.6%)」という声が一定数存在しています。

これは裏を返せば、所有者が希望する「売りたい価格」と、実際の市場が評価する「買われる価格」の間に大きなギャップが生じていることを示しています。

加えて、価格が高止まりしてしまうもう一つの要因が、不動産会社側の営業手法です。

不動産会社の中には、他社を出し抜いて売却の依頼(媒介契約)を獲得するために、わざと相場より高い、実際には売れないような高値の査定額を提示するケースが存在します。

相続人は不動産の専門知識がないことが多く、「高く売ってくれるなら」と高い査定を出した会社と契約しがちです。

しかし、結果的に相場から外れた価格で市場に出されるため、いつまで経っても買い手からの問い合わせが入らず、売れ残ってしまう事態に陥ります。

チラシやポータルサイトに載っている周辺物件の価格は、あくまで「その価格で売りたい」という希望価格に過ぎません。

適正な相場を知るためには、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」などを活用し、近隣で実際に売買が成立した「成約事例(成約価格)」をベースに比較・検討が必要です。

また、「売り出してから3ヶ月問い合わせがなければ、価格を〇〇万円下げる」といったルールを家族間や不動産会社とあらかじめ取り決めておくことで、感情に流されずに市場の需要に合わせた柔軟な価格調整が可能になります。

隣地との境界が確定していない

不動産売買において、隣地との境界線がどこにあるのかが明確でない物件は、購入後に隣人との「言った・言わない」の越境トラブルなどに巻き込まれるリスクが高いため、不動産会社は扱いたがらず、一般の買主も敬遠します。

また、住宅ローンを利用する場合も、境界が確定していないと金融機関の融資審査が通らないことが一般的です。

そして、意外と多いのが、千葉県の郊外や旧農地エリア、古くからの集落などでは、お隣さんとの境界が「あの木の辺り」「水路の真ん中」といった曖昧な認識のまま、何十年も放置されているケースです。

親から相続して初めて、正式な境界標(杭)がないことに気づくパターンが典型です。

境界を確定させるためには、土地家屋調査士などの専門家に依頼し、隣地所有者全員と立ち会いの上で合意を得る「境界確定測量」を行う必要がありますが、これには数十万円の費用と数ヶ月単位の時間がかかるため、売却活動自体が長期化・頓挫する大きな原因となっています。

「売れない」まま放置するとどうなるか

実家がなかなか売れないと、「とりあえずそのままにしておこう」「いつか状況が変わるかもしれない」と先延ばしにしたくなるものです。

しかし、不動産の実情において、ただ待っているだけで状況が好転することはまずありません。

責めるわけではありませんが、事実として、誰も住まない家を放置することは、所有者にとって経済的・法的なリスクを背負い続けることを意味します。

具体的にどのような事態が進行していくのか、以下の4つの事実を確認しておきましょう。

  • 固定資産税・火災保険・管理費が毎年かかり続ける
  • 「特定空き家」等に指定されると、固定資産税が最大6倍に
  • 建物は放置するほど劣化し、将来さらに売りにくくなる(悪循環)
  • 相続登記の義務化により、放置は「法的リスク」にも直結

固定資産税・火災保険・管理費が毎年かかり続ける

空き家であっても、所有している限り固定資産税や都市計画税は毎年必ず発生します。

また、放火や自然災害への備えとして火災保険への加入も欠かせず、定期的な草刈りや空気の入れ替えなど、維持管理には思いのほか手間と費用がかかります。

船橋市の調査でも、空き家を管理する上での困りごととして「遠方に住んでおり管理できない」「管理するための費用が掛かる」という声が多く寄せられており、先延ばしにするほど家計への負担は蓄積していきます。

「特定空き家」等に指定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる

住宅が建っている土地は「住宅用地特例」によって固定資産税が大きく軽減(最大で6分の1)されています。

しかし、法改正により、倒壊の危険等がある「特定空家等」に指定されて勧告を受けた場合、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある「管理不全空家等」として勧告を受けた場合は、この軽減特例の対象から除外されることになりました。

つまり、管理を怠って自治体から勧告を受けると、翌年から土地の固定資産税が最大6倍に増額されてしまいます。

建物は放置するほど劣化し、将来さらに売りにくくなる(悪循環)

適切な管理が行われない空き家は、老朽化が急速に進みます。

屋根や外壁が破損して雨水が入り込めば、柱の腐朽やシロアリの被害が進み、周囲に倒壊や部材飛散などの危険を及ぼす恐れも否定できません。

建物の傷みが進めば進むほど、買い手にとっては修繕や解体にかかるコストが膨らむため、さらに売却が困難になるという悪循環に陥ってしまうのです。

相続登記の義務化により、放置は「法的リスク」にも直結

これまでは相続した不動産の名義変更を行わなくても罰則はありませんでしたが、令和6年(2024年)4月1日から「相続登記の申請が義務化」となりました。

これにより、相続を知りながら手続きを放置することは法律違反となり、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の対象となります。

さらに、登記を行わずに放置して代替わりが進むと、いざ売却や処分をしようとしても「会ったこともない相続人」が多数存在することになり、全員の合意を得ることが極めて困難な状態(解決困難事例)になってしまいます。

このように、空き家問題は時間が経つほどに選択肢が狭まり、リスクが大きくなっていきます。

売れないのであれば、「なぜ売れないのか」を客観的に分析し、価格を見直すか、あるいは売却以外の「出口戦略」へ速やかに舵を切る決断が求められています。

現実的な出口戦略 5パターン

実家がすぐに売れないからといって、選択肢がなくなったわけではありません。

ここからは、ただ手放すのではなく「活用する」「引き取ってもらう」という出口戦略を解説します。

将来的な売却のタイミングを計る上でも、知識として持っておいて損はないですので、ぜひ参考にしてみてください。

賃貸に出す

一般のマイホーム購入者には売れにくい古い実家でも、「賃貸」に切り替えると意外な需要が眠っていることが多くあります。

例えば、多頭飼いができる「ペット可物件」を探している人や、ルームシェアを希望する外国籍の入居者などです。

さらに千葉県内では、グループホームやデイサービスといった介護・日中活動系の福祉事業者が、事業所として一戸建ての空き家を探しているケースも少なくありません。

船橋市の調査によると、空き家の今後の利用意向として「売却」や「賃貸」を希望する回答が半数以上あり、利活用への関心の高さがうかがえます。

賃貸に出す最大のメリットは、固定資産税ばかりがかかる「負債」を、毎月の家賃を生み出す「資産」へと変えられる点です。

賃貸運用で収益を得ながら、入居者が「そのまま買いたい」と言い出したタイミングで売却を検討するなど、時間に追われずに主導権を握って出口戦略を描くことができます。

私が勤める不動産会社でも、戸建てのオーナーが現入居者に売却するという例は見受けられますね。

賃貸に出す場合も、「相続登記」の整理は絶対条件です!

亡くなった親名義のままでは、不動産会社を介した正式な賃貸借契約を結ぶことができません。

また、法務省の規定により、令和6年(2024年)4月1日から「相続登記の申請が義務化」されています

船橋市の調査でも、賃貸や売却の利活用を行いたいが「どうすればよいかわからない」と戸惑っている所有者が約2割(19.7%)いるという現状が浮き彫りになっています。

賃貸に出すにせよ、後述するその他の出口戦略を選ぶにせよ、まずは司法書士や行政書士などの専門家に相談し、相続登記を速やかに完了させて「自分の名義」にしておくことが最初の一歩となります。

空き家バンクに登録する

不動産会社は仲介手数料が主な収益源となるため、価格が安すぎる物件や、買い手がつきにくい立地・築古の物件は避ける傾向にあります。

そうした「通常の不動産市場(民間流通)に乗らない物件」の受け皿となるのが、市区町村が主体となって運営する「空き家バンク」です。

自治体が物件情報をウェブサイト等で公開し、空き家を「売りたい・貸したい人」と「買いたい・借りたい人」をマッチングさせる仕組みであり、営利目的ではないため、条件が悪い物件でも掲載して広くアピールすることができます。

千葉県内でも、多くの市区町村が移住定住促進や空き家対策の一環として、空き家バンクを運営しています。

近年は、古い家を安く買って自分でDIY(改装)を楽しみたい層や、都心からアクセスしやすい千葉の郊外・農村エリアでテレワークや二拠点生活(デュアルライフ)を希望する層など、一般のマイホーム探しとは異なる独自のニーズを持ったユーザーが空き家バンクを閲覧しています。

そのため、不動産会社が取り扱わない物件でも、意外なマッチングが生まれる可能性があるのです。

さらに、 全国の自治体の中には、空き家バンクの利用を促進する目的で、「空き家バンクに登録した物件」に限定して、残置物の撤去費用やリフォーム費用の一部を補助する独自の制度を設けているケースがあります。

船橋市の補助制度
  • 木造住宅の耐震改修費用の助成
  • 住宅バリアフリー・断熱改修支援事業

例えば、船橋市でも、空き家の利活用や安全確保を後押しするため、居住への一定の要件を満たすことで「木造住宅の耐震改修費用の助成」や、バリアフリー化や断熱改修にかかる費用の一部を助成する「住宅バリアフリー・断熱改修支援事業」などが用意されています。

自治体のこうした補助金や改修支援をうまく活用すれば、所有者側の持ち出しコストを抑えつつ物件の魅力を高め、次の借り手・買い手へとつなげやすくなります。

まずは、実家がある自治体のホームページや空き家相談窓口で、空き家バンク制度や利用できる補助金の有無を確認してみましょう。

空き家バンクに登録したい場合は、まずは市の「空き家相談窓口」で「スマート申請」もしくは「船橋市空家相談申込書」に必要事項を記入し提出(郵送・持参・FAXいずれの方法も可)してください。

「相続土地国庫帰属制度」を利用して国に引き渡す

どうしても買い手が見つからず、賃貸や空き家バンクへの登録も難しい場合の最終手段として、令和5年(2023年)にスタートした「相続土地国庫帰属制度」を利用して、土地を国に引き取ってもらう方法があります。

この制度は、相続した不要な土地を手放し、将来の管理責任や固定資産税の負担から解放される画期的な仕組みです。

しかし、「どんな土地でも無条件で、無料で国が引き取ってくれる」というわけではありません。

利用するためには、以下の厳しいハードルとコストをクリアする必要があります。

「相続土地国庫帰属制度」利用条件
  • 更地にする
  • 境界を明らかで隣人トラブルがない
  • 却下要件に該当していない
  • 手数料と負担金を支払う

1つ目に、国庫帰属の申請ができるのは、原則として更地のみです。

建物が存する土地は、国が引き取った後の管理コストが高額になり、老朽化による倒壊等のリスクがあるためです。

そのため、まずは所有者の自己負担で実家を解体し、更地にする必要があります。

2つ目に、隣地との境界が明らかでない土地や、所有権の範囲について争いがある土地は申請できません。

実家の土地の境界が未確定の場合は、事前に土地家屋調査士に依頼して境界を確定させる(隣地所有者の合意を得る)必要があります。

3つ目に、要件を満たさない土地は対象外となります。

例えば、抵当権が設定されている土地や、通路など他人の使用が予定されている土地、土壌汚染がある土地は申請自体ができません。(却下要件)

また、申請できたとしても、急な崖があって管理に過分な費用がかかる土地などは、審査の段階で引き取りを断られてしまう場合があります。(不承認要件)

4つ目に、国への引き渡しには「手数料」と「負担金」がかかります。

  • 審査手数料: 土地一筆当たり14,000円(審査で却下でも返還されません)
  • 負担金(10年分の土地管理費相当額)

審査に通って国庫帰属が承認された場合、原則として一筆あたり20万円の負担金を納付します。

ただし、市街化区域内の宅地などの場合は、面積に応じて負担金が算定されるため、例えば、200平米(約60坪)の宅地であれば「79万3,000円」と、高額になるケースもあります。

更地にして売る

老朽化が進んで傷みが激しい実家の場合、そのまま中古住宅として市場に出しても、買い手には「リフォーム費用」や「購入後の解体費用」という見えないコストが重くのしかかるため、敬遠されがちです。

そのため、思い切って建物を解体し、「更地(土地のみ)」として売り出した方が、新築用地を探している一般の買い手や住宅メーカーなどの目に留まりやすく、売却活動がスムーズに進む可能性が高まります。

木造住宅の解体費用は、一般的に坪あたり3〜5万円程度が相場と言われており、30坪の家であれば100万〜150万円ほどのまとまった資金が必要になります。

船橋市の空き家所有者に対する調査でも、空き家にしておく理由として「解体費用をかけたくない(46.9%)」「解体費がない(22.8%)」という声が多く挙げられており、解体費用の負担が所有者にとって大きなハードルとなっているのが現状です。

私の知り合いでも、固定資産税を払っている方が解体するより安いという理由で、相続した実家をそのままにしている人がいるのも確かです。

目の前の出費を避けたい気持ちは痛いほど分かりますが、「固定資産税を払って放置する方が安い」というのは、将来にとっては危険な勘違いで問題の先送りに過ぎません。

解体費用の負担を軽減するため、「除却(解体)に対する助成制度」などを行なってい自治体も多く見受けられます。

例えば船橋市では、住宅倒壊による被害を未然に防ぐため、一定の要件を満たす木造住宅の除却を行う場合に費用の一部を助成する「木造住宅除却助成事業」が用意されています。

さらに、建物を解体して更地にしておくことは、最終手段である「相続土地国庫帰属制度」を利用するための「絶対条件」でもあります。

つまり、更地にすることは「民間市場で売れやすくなる」という直接的なメリットだけでなく、万が一それでも売れなかった場合に「国に引き取ってもらう」という次なる出口への扉を開いておくことにもつながるのです。

隣地所有者に売る

細い通路を通らないと敷地に入れない「旗竿地」や、家を建てるには狭すぎる「狭小地」など、これまで解説した「接道義務を満たさない再建築不可物件」などは、一般のマイホーム購入者からは敬遠されるため、不動産ポータルサイト等に出してもなかなか買い手がつきません。

しかし、その土地に隣接しているお隣さん(隣地所有者)だったら購入してもらえる可能性があるかもしれません。

隣地の人が買い取るメリットとしては、自分の土地とつなげる(合筆する)ことで土地の形が整うことで資産価値を大きく向上させたり、駐車場や庭として利用したいといったニーズがあるためです。

そのため、一般市場では無価値に近い物件でも、隣地の方には買ってもらえる可能性があることは覚えておいてください。

条件の悪い土地や価格が安すぎる土地は、不動産会社には仲介を断られたりすることがあります。

そのため、不動産会社を介さずに、所有者自身が直接お隣さんに声をかけて売買交渉を進める(個人間売買の)という手もあります・

この場合、仲介手数料を払う必要はなくなりますが、のちのちのトラブルを防ぐためにも、口約束で終わらせず、売買契約書の作成や所有権移転の登記手続きなどは、司法書士や行政書士などの専門家に依頼して進めるのが賢明です。

また、隣地の方に買ってもらうためには、日頃からの良好な関係性が不可欠です。

空き家を放置して雑草や害虫で迷惑をかけていれば、いざという時に買ってもらうことは困難になります。 また、もし隣地交渉が不調に終わり、最終手段である「相続土地国庫帰属制度」を利用することになった場合でも、法務省の規定により「境界が明らかでない土地」や「隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地」は、国に引き取ってもらうことができません。

つまり、隣地に買ってもらうにせよ、国に返すにせよ、「お隣さんと揉めていないこと(境界の合意が得られる関係であること)」は、売れない実家を手放すための絶対条件ということもできます。

定期的に管理に足を運び、お隣さんに挨拶をしておくなどの良好な関係を築いておくことが、結果的に最大の出口戦略につながります。

あなたのケースはどれ? 状況別・実家を手放すためのロードマップ

状況まずやること向いている出口
登記が親名義のまま遺産分割協議書の作成・相続登記すべての選択肢が可能
相続人が揉めている弁護士等の専門家に相談協議完了後に判断
建物が古い・再建築不可解体・隣地交渉・賃貸を検討売却以外の出口が現実的
すぐ現金化したい買取業者へ直接相談業者による買取
急がず収入が欲しい賃貸管理会社へ相談賃貸運用

実家の状況や、家族の事情によって「最適な出口(解決策)」は異なります。まずはご自身の状況が以下のどれに当てはまるかを確認し、「次にやるべきこと」を整理しましょう。

ケース1:登記が亡くなった親名義のままになっている

まずやること: 遺産分割協議書の作成・相続登記(名義変更)
向いている出口: 売却・賃貸など、すべての選択肢が可能になる

解説・注意点: 親名義のままでは、不動産会社と売却の媒介契約を結ぶことも、賃貸に出すことも、国に引き取ってもらうこともできません。

さらに、令和6年(2024年)4月から相続登記が義務化されており、放置は法律違反のリスクに直結します。

どのような出口を選ぶにせよ、まずは司法書士などの専門家に相談し、「自分たちの名義」に変更することがすべての第一歩です。

なお、相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円が控除される「空き家の特例」が適用できる場合があります。

税務上のメリットも大きいため、売却を検討される際は、税理士への相談をあわせてお勧めします。

ケース2:相続人が複数いて、誰が相続するかで揉めている

まずやること: 遺産分割協議の進め方を弁護士等の専門家に相談する
向いている出口: 協議完了後に判断(または持分譲渡、相続放棄など)

解説・注意点: 不動産を売却・処分するには原則として相続人全員の合意が必要です。

当事者同士で話が平行線になり放置してしまうと、建物が劣化し「特定空き家」等に指定されて固定資産税が跳ね上がるリスクがあります。

揉めている場合は、第三者である専門家を交えて権利関係を整理するか、どうしても関わりたくない場合は「自分の持分のみの売却(譲渡)」や、期限内であれば「相続放棄」を検討するのも手です。

相続放棄「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」という厳しい期限があるため、早急な決断が必要な点に注意が必要です。

他にも、一部の相続人が行方不明で合意が取れない場合や、どうしても協議がまとまらず管理不全に陥っている場合は、裁判所を通じた「財産管理制度」を活用することも可能です。

利害関係人として家庭裁判所や地方裁判所に申し立てを行い、「不在者財産管理人」や「管理不全土地(建物)管理人」を選任してもらうことで、管理人に代わって売却などの処分を進めてもらうという制度もあります。

ケース3:建物が古すぎる、または再建築不可の立地である

まずやること: 「解体して更地にする・隣地へ交渉する・賃貸に出す」を検討
向いている出口: 「一般市場での売却」以外の出口が現実的

解説・注意点: 一般のマイホーム購入者は「ローンが通る、建て替えができる土地」を好むため、古い家や接道義務を満たさない土地は市場に出してもなかなか売れません。

建物を解体して更地にする(解体費用とのバランス試算が必要)、土地の価値が上がる「隣地の人」に直接買い取りを打診する、あるいは、リフォームして「賃貸」に出すといった工夫が求められます。

最終手段として「国庫帰属制度」もありますが、更地化や境界確定が必須条件となります。

ケース4:価格が下がってもいいので、とにかくすぐに現金化したい

まずやること: 不動産の「買取業者」へ直接相談する
向いている出口: 業者による買取

解説・注意点: 仲介で一般の買い手を探すのは時間がかかりますが、「買取」であれば不動産会社が直接買い取ってくれるため、数週間〜1ヶ月程度で手放すことが可能です。

市場価格より安くはなりますが、残置物をそのままにして引き取ってもらえたり、売却後の不具合に対する責任(契約不適合責任)を免除されたりするメリットがあり、手間と時間を省きたい方に適しています。

ケース5:手放すのを急いでおらず、毎月の収入が欲しい

まずやること: 賃貸管理会社へ相談し、リフォーム費用の試算を行う
向いている出口:賃貸(収益物件としての運用)

解説・注意点: 固定資産税や維持管理費ばかりがかかる「負動産」を、利益を生む「資産」に変える方法です。

福祉事業者や外国籍の方など、特定の賃貸需要とマッチすれば安定した家賃収入を得られます。

自治体によってはバリアフリー・断熱改修等の補助金が用意されていたり、家賃保証を行う「マイホーム借上げ制度」などが案内されていることもあるため、初期投資(リフォーム費用)と家賃収入のバランスを見極めることが成功の鍵となります。

千葉で相続不動産を相談するなら、まず「状況整理」から

実家をどうするか、大まかな方向性が見えてきても、実際に「誰に相談すればいいのか」迷ってしまう方は少なくありません。

実は、現在の実家の「状況」によって、最初に相談すべき専門家は異なります。

まずはご自身の状況に合わせて、適切な窓口を知っておきましょう。

登記未了・遺産分割未完了の場合は「行政書士」または「司法書士」へ

親名義のままになっている、あるいは相続人間で遺産分割協議が終わっていない場合は、いきなり不動産会社に相談しても売却や賃貸の契約を進めることができません。

まずは名義や権利関係を整理するための法的な手続きが必要となるため、遺産分割協議書の作成や権利関係の整理を担う「行政書士」や、登記の専門家である「司法書士」が最初の窓口となります。

ちなみに、最終手段である「相続土地国庫帰属制度」の申請書類作成を所有者に代わって代行できるのも、法律により弁護士・司法書士・行政書士の国家資格者に限られています。

売却・賃貸・更地の判断をする場合は「不動産会社」へ

すでに名義変更が完了しており、あとは「いくらで売れるか」「解体費用と見合うか」「賃貸の需要はあるか」といった、不動産市場における現実的な判断が必要な場合は、宅地建物取引士(宅建士)が在籍する不動産会社が窓口となります。

「どこに相談すればいいかわからない」という方へ

実際の相続現場では、「まだ家族の話し合いが終わっていないけれど、売れる金額によっては手放したい」「法的な手続きと、不動産の査定を同時に進めたい」というように、法律の問題と不動産の問題が複雑に絡み合っているケースがほとんどです。

あちこちの窓口をたらい回しにされるのを防ぐためには、「行政書士」と「宅建士」両方の資格を持つ専門家を最初の窓口として選ぶのが非常に有効です。

筆者は、行政書士として遺産分割協議書の作成や法的な権利整理をサポートしつつ、同時に宅建士として、不動産の市場価値に基づく売却・活用の「出口戦略」までをワンストップで一緒に整理することができます。

「法務」と「不動産実務」の両面から、ご家族にとって最適な解決策をご提案いたします。

「まだ何も決まっていない」「何から手をつけていいか分からない」という状況の整理からお手伝いいたしますので、千葉県内の相続不動産でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

売るにせよ貸すにせよ、すべては「相続手続き」」から始まる

ここまで、相続した実家が売れない理由と、さまざまな出口戦略をお伝えしてきました。

長くなりましたが、結論はシンプルです。

  • 放置はリスクでしかない
  • 親名義のままでは何もできない
  • 最初の第一歩は「相続手続き」

誰も住まない家を放置すれば、固定資産税が最大6倍になるリスクや、義務化された相続登記を怠った場合のペナルティ(過料)が待っています。

そして、「売る」「貸す」「空き家バンクに登録する」「国に引き取ってもらう」——どの出口を選ぶにしても、亡くなった親名義のままでは、契約も手続きも1ミリも前に進みません。

まず相続人同士で合意を取り、「遺産分割協議書」を作成して名義を確定させること

これがすべての解決の絶対条件です。

「まだ家族の意見がまとまっていない」「何から手をつけていいか分からない」——そのような状態からのご相談で、まったく問題ありません。

 相続は、誰もが初めて直面する問題です。

ただ、動き出せるなら、早いほど選択肢は広がります。

当事務所では、行政書士として面倒な戸籍の収集や「遺産分割協議書」の作成といった法的手続きを正確に代行いたします。

それと同時に、宅地建物取引士としての不動産実務の視点から、「この物件ならどう処分していくのが現実的か」「賃貸に出すならどのような可能性があるか」といった、不動産の方向性に関するアドバイスも併せてサポートいたします。

一人で抱え込まず、まずは無料相談をご利用ください。

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