宅建業免許の変更届 事務所移転・増設したときの手続きと期限【千葉県版】

「事務所を移転・増設したいが、何をどこに、いつまでに届け出ればいいのか分からない」
このように、悩まれている宅建業者の方もいるのではないでしょうか。
宅建業の事務所移転・増設は、単なる「引越しの届出」ではありません。同一県内か県外かで手続きが変わり、届出には「30日以内」という期限もあります。
本記事では、千葉県で事務所を移転・増設する際の手続きや期限について、行政書士がわかりやすく解説します。
事務所を移転したら、まず「変更届」か「免許換え」かを確認
宅建業の事務所移転について、同一県内での移転なのか、県外への移転(または県外への新設)なのかによって、手続きの名称や内容が大きく異なります。
同一県内での移転は「変更届」で済みますが、県外へ移転する場合や県外に支店を新設する場合は免許権者が変わるため「免許換え」という新たな免許申請に近い手続きが必要です。
| 比較項目 | 同一県内での移転 | 同一県内での増設 (新設) | 県外への移転 | 県外への増設 |
|---|---|---|---|---|
| 手続きの名称 | 名簿登載事項の変更届 | 名簿登載事項の変更届 | 免許換え申請 | 免許換え申請 |
| 免許権者 | 変わらない (現在の知事) | 変わらない (現在の知事) | 別の都道府県知事 | 国土交通大臣 |
| 提出期限/時期 | 移転があった日から30日以内 | 移転があった日から30日以内 | 新たな事務所で営業を開始する前に申請し、免許を受ける必要がある | 新たな事務所で営業を開始する前に申請し、免許を受ける必要がある |
| 費用(税など) | 不要 | 不要 | 申請手数料(移転先の都道府県へ納付。例:3万3千円など) ※国税は不要 | 登録免許税 9万円(国税として納付) |
| 保証金の追加納付 | 不要 | 必要 | 不要 | 必要 |
| 新たな人員の届出 | 不要 (既存人員のままの場合) | 必要 (政令使用人・専任の取引士) | 必要 (新規申請と同様) | 必要 (新規申請と同様) |
契約前に確認したい、新しい事務所の要件
事務所要件の基本はすでにご存知かとは思いますが、移転・増設のタイミングで今一度おさらいしておきましょう。
- 専任の宅地建物取引士の設置
- 政令で定める使用人(支店長など)の設置
- 継続的に業務が行えること
- 使用する正当な権原があること
- 市街化調整区域内の事務所設置
- 事務所を使用する権原(契約形態)の確認
- 業者票・報酬額表の表示変更と写真撮影
移転の届出時の際には上記の点にも注意しておきましょう。
1.事務所の独立性
| 形態 | OK | NG |
|---|---|---|
| 自宅の一部 | 専用出入口あり/居住スペースを通らず直接入室可/壁で明確に仕切り | 居住スペース経由でしか入れない/同一空間 |
| 他法人と共同利用 | 出入口が別/固定壁(高さ180cm以上・不透明)で完全に仕切り | 他社スペースを通過/間仕切り不明確/共有応接室あり/内階段で行き来可 |
2.事務所内の必須設備
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 執務スペース | 人数分の机・椅子 |
| 応接スペース | 応接セット(執務スペースと明確に区別) |
| 掲示物 | 業者票・報酬額表 |
| 通信設備 | 開通済みの固定電話 |
同一県内で本店(主たる事務所)を移転する場合の手続き
同一県内で本店(主たる事務所)を移転する場合の手続きについて、特に注意すべきポイントを整理して解説します。
変更届出書の提出先・期限
| 提出期限 | 移転した日から30日以内 |
| 提出先 (千葉県知事免許の場合) | 千葉県庁 (県土整備部 建設・不動産業課) |
| 提出方法 (千葉県知事免許の場合) | 窓口への持参、または電子申請(eMLIT) |
免許証に記載されている本店所在地が変わるため、変更届と同時に「免許証書換え交付申請」も行う必要があります。
主たる事務所移転の必要書類一覧(千葉県知事免許の場合)
| 必要書類 | 備考・注意点 (電子申請・紙申請共通) |
|---|---|
| 様式第三号の四(事務所) ※変更届出書 | ・紙申請(窓口)の場合は用紙に記入して提出 ・電子申請(eMLIT)の場合はシステムへ直接入力するため、様式データの添付は不要 |
| 履歴事項全部証明書【原本】 (※法人のみ必要) | ・移転した日付(変更日)が登記されているもの・届出受付日前3ヶ月以内に発行されたもの・電子的な証明書は利用不可です。 |
| 事務所を使用する権原に関する書面 | ・賃貸借契約書など ・契約相手が物件の所有者と異なる(転貸借契約の)場合は、所有者が使用を承諾していることを証明する書類(転貸承諾書など)も必要 |
| 事務所までの案内図 | ・最寄り駅から事務所までの経路などを記載した地図 |
| 事務所の内部及び外部がわかる写真 | ・建物外観、入口までの経路、事務所入口、内部などを詳細に撮影した3ヶ月以内のカラー写真。 【重要】撮影前に必ず「業者票」の所在地等を新住所に書き換え、それが判別できるように撮影してください。 |
| 事務所の平面図・間取り図 | ・机や応接スペースの配置がわかる図面 ・他業務と兼業する場合は、宅建業のスペースを枠線で囲むなどして区別する |
| 免許証書換え交付申請書 | ・免許証の住所を書き換えるための申請 変更届と併せて必ず手続きを行う ・電子申請の場合はシステムへ直接入力 |
| 旧免許証(現在の免許証) | ・手元にある現在の免許証の原本 ・電子申請の場合でも、後から郵送(または窓口持参)で提出する必要あり |
| 返信用封筒 (レターパックプラス 赤) | 電子申請の場合でも、旧免許証とともに郵送(または持参)する必要があり |
| 電子申請チェックリスト (※電子申請の場合のみ) | ・電子申請を行った後、所定のチェックリストを出力し、旧免許証等と一緒に郵送(または持参) |
「法務局の本店移転登記」と「宅建業の届出」はどっちが先か?
宅建業の変更届には、移転年月日が反映された「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」の原本を添付しなければならないため、法人登記の手続きが先になります。
ここで非常に間違いやすいのが、期限の起算日です。
履歴事項全部証明書に変更日が記録される場合、宅建業の変更届の期限は「登記が完了した日」からではなく、「実際に移転した日(変更日)」から30日以内となります。
法務局での登記手続きそのものに数日〜2週間程度かかることがあります。
司法書士への登記依頼が遅れると、宅建業の「30日以内」という届出期限に間に合わなくなる恐れがあるため、移転日が決まったら、速やかに司法書士と連携し、登記手続きを最優先で進めることが重要です。
表示が古いままの写真を提出すると、再提出を求められるため、注意してください。
関連記事


保証協会(ハト・ウサギ)への届出について
宅建業の事務所を移転際は県庁などの行政窓口だけでなく、加入している保証協会(ハトマークの「全国宅地建物取引業保証協会」やウサギマークの「不動産保証協会」)への手続きも忘れないように注意しましょう。
移転の場合は「住所変更の届出」だけで済む
事務所の場所を移すだけで会社全体の事務所の数が増えない場合、保証協会に対する手続きは比較的シンプルです。
- 手続きの内容:保証協会に対して、新しい所在地などを申告する「変更の届出」を提出
- 費用の有無:事務所の総数は変わらないため、弁済業務保証金分担金の追加納付は不要
ただし、県外へ移転して管轄が変わる(免許換えとなる)場合は、保証協会内でも所属本部が変わるなどの特別な手続きが必要になることがあるため、必ず事前に協会へ確認してください。
よくある質問
- 事務所移転の届出は誰が出しますか?
-
原則として免許を受けている「宅建業者自身」ですが、実務上は「行政書士」に依頼(代理申請)するのが一般的です。
宅建業法上、変更があった日から30日以内に届出を行う義務があるのは宅建業者ご自身です。しかし、これまでの解説の通り、移転時には要件を満たす図面の作成や厳密な写真撮影、法務局での登記手続きとの連動など、専門的な実務が伴います。そのため、手続きの不備によるオープン遅れを防ぐため、不動産手続きに精通した行政書士に委任し、電子申請(eMLIT)などを通じて代理提出してもらうケースが多くなっています。 - 移転先が決まる前に届出できますか?
-
できません。移転先と契約し、事務所の設備が整い、実際に移転した「後」に届け出る必要があります。
行政への届出(変更届)には、新事務所を適法に使用できることを証明する「賃貸借契約書等」や、机や電話、業者票などが設置された状態の「事務所の内部・外部の写真」、「平面図・間取り図」などの添付が必須となります。そのため、「これからここに移転する予定です」という段階では受付されません。事務所としての形態が完成し、実際に移転した日から「30日以内」に手続きを行ってください。 - 増設時の営業保証金はいくら追加が必要ですか?
-
支店(従たる事務所)を1か所増設するごとに、保証協会加入業者は「30万円」、未加入業者は「500万円」の追加資金が必要です。
加入状況によって、準備すべき金額が大きく異なります。保証協会に加入していない場合: 支店を1か所新設するごとに、管轄の法務局へ「営業保証金 500万円」を供託する必要があります。
保証協会(ハトマーク・ウサギマーク等)に加入している場合: 法務局への供託が免除される代わりに、加入している協会へ「弁済業務保証金分担金 30万円」を納付します。
お困りの場合はご相談ください
- 期限の30日以内に、書類が間に合うか不安
- 必要書類が多くて、何から手をつければいいか分からない
- 本業が忙しくて、届出に時間をかけられない
変更届は、物件の確認から書類集め、写真の準備、役所への提出までと、意外と手間がかかるものです。
さえぐさ行政書士事務所では、宅建業免許の申請・更新、変更届など、宅建業免許に関連するお手続のサポートをしております。
ご相談は無料ですので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。
