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宅建業の事務所移転・増設手続き完全ガイド【千葉県版】必要書類と期限

「事業拡大のために事務所を移転・増設したいが、何をどこに、いつまでに届け出ればいいのか分からない」

このように考えている宅建業者の方も多いのではないでしょうか。

宅建業の事務所移転・増設は、単なる「引越しの届出」ではありません。

同一県内か県外かで手続きが変わり、事務所には厳格な「独立性」の要件が求められ、届出には「30日以内」という期限もあります。

加えて保証協会への分担金納付も並行して必要で、順番を誤ると新事務所のオープンが遅れることもあります。

本記事では、千葉県で事務所を移転・増設する際の「手続き」「書類」「期限」について、パターン別にわかりやすく解説します。

目次

宅建業の事務所を移転・増設するとき、まず確認すべきこと

まずは、事務所を移転・増設する前に、まず自分のケースが以下のどれに当てはまるかを確認しましょう。

ここを間違えると、届出先や必要書類が変わってしまいます。

  • 同一県内の移転なのか県外の移転なのか、パターンを確認
  • 事務所要件の確認
  • 期限と届け先の確認

上記について、詳しく見ていきましょう。

同一県内の移転なのか県外の移転なのか、パターンを確認

宅建業の事務所移転について、同一県内での移転なのか、県外への移転(または県外への新設)なのかによって、手続きの名称や内容が大きく異なります。

同一県内での移転は「変更届」で済みますが、県外へ移転する場合や県外に支店を新設する場合は免許権者が変わるため「免許換え」という新たな免許申請に近い手続きが必要です。

比較項目同一県内での移転同一県内での増設
(新設)
県外への移転県外への増設
手続きの名称名簿登載事項の変更届名簿登載事項の変更届免許換え申請免許換え申請
免許権者変わらない
(現在の知事)
変わらない
(現在の知事)
別の都道府県知事国土交通大臣
提出期限/時期移転があった日から30日以内移転があった日から30日以内新たな事務所で営業を開始する前に申請し、免許を受ける必要がある新たな事務所で営業を開始する前に申請し、免許を受ける必要がある
費用(税など)不要不要申請手数料(移転先の都道府県へ納付。例:3万3千円など)
※国税は不要
登録免許税 9万円(国税として納付)
保証金の追加納付不要必要不要必要
新たな人員の届出不要
(既存人員のままの場合)
必要
(政令使用人・専任の取引士)
必要
(新規申請と同様)
必要
(新規申請と同様)

同一県内での移転(変更届)

現在の都道府県内のみで本店や支店を移転するパターンです。

本店の移転などにより免許証に記載されている住所が変わるため、変更届と併せて「免許証書換え交付申請」を行う必要があります。

万が一、30日を超えてしまった場合は、遅れた理由や改善の意思を記載した「顛末書」や「始末書」の提出が求められます。

同一県内での増設(変更届+人員設置+保証金の追加)

現在の都道府県内に、新たに支店や営業所を追加するパターンです。

事務所増設の場合、新設する事務所の責任者となる「政令で定める使用人」と「専任の宅地建物取引士」を新たに設置し、事務所新設の変更届と併せて、これらの者の就任の変更届を提出しなければなりません。

事務所が増えるため、営業を開始する前に営業保証金の追加供託(1事務所につき500万円)または保証協会へ加入している場合は弁済業務保証金分担金の追加納付(1事務所につき30万円)を行い、別途、その届出をする必要があります。

県外への移転(免許換え・都道府県知事

事務所の所在地が変わることで、管轄する免許権者(知事)が変更になるパターンです。

現在の免許は効力を失い、新たに免許を受け直す形になります。

  • 知事免許 → 別の知事免許への免許換え
    例: 千葉県内のみにあった事務所をすべて廃止し、東京都内のみに事務所を移転する場合。
    管轄が千葉県知事東京都知事に変更
  • 国土交通大臣免許 → 知事免許への免許換え
    例: 東京と千葉の両方に事務所(大臣免許)があったが、東京の事務所を廃止し、千葉県内のみに事務所を置くことになった場合
    1つの都道府県内にのみ事務所を有することになるため、大臣免許知事免許へ変更

「登録免許税(9万円)」は不要ですが、移転先の都道府県へ「申請手数料」を納付する必要があります。

県外への増設(免許換え・国土交通大臣

県外へ事務所を増設の場合は、管轄する免許権者が「知事」から「国土交通大臣」に変更になります。

知事免許 → 国土交通大臣免許への免許換え

例: 千葉県に本店を置いたまま、新たに東京都に支店を増設する場合
2つ以上の都道府県にまたがって事務所を設置することになるため、知事免許国土交通大臣免許へ変更

免許換えの注意点: 免許換え申請は新規申請と同様の厳しい審査が行われ、大臣免許の場合は申請から交付まで約90日の期間を要します。
また、大臣免許への免許換え時には9万円の登録免許税を納付する必要があります。

事務所要件の確認

事務所要件の基本は、すでにご存知かとは思いますが、移転・増設のタイミングで今一度おさらいしておきましょう。

人的要件
  • 専任の宅地建物取引士の設置
  • 政令で定める使用人(支店長など)の設置

専任の宅地建物取引士は、その事務所で業務に従事する者5名につき1名以上の割合で設置する必要があります。

事務所要件の基本ルール
  • 継続的に業務が行えること
  • 使用する正当な権原があること

物理的な実体があり、継続して宅建業の業務を行える独立した施設であることや、所有権がある、または賃貸借契約を結んでいるなど、事務所として使用する正当な権利(権原)を有していることが必須です。

1.事務所の独立性

形態OKNG
自宅の一部専用出入口あり/居住スペースを通らず直接入室可/壁で明確に仕切り居住スペース経由でしか入れない/同一空間
他法人と共同利用出入口が別/固定壁(高さ180cm以上・不透明)で完全に仕切り他社スペースを通過/間仕切り不明確/共有応接室あり/内階段で行き来可

2.事務所内の必須設備

区分内容
執務スペース人数分の机・椅子
応接スペース応接セット(執務スペースと明確に区別)
掲示物業者票・報酬額表
通信設備開通済みの固定電話

3.届出時の提出書類

書類ポイント
使用権原を証する書面登記簿謄本、賃貸借契約書の写し(転貸借の場合は所有者の承諾書も)
平面図・間取り図動線・机・応接セット・業者票の配置を明記(兼業時は宅建業スペースを枠線で区別)
事務所の写真外観/入口から事務所までの経路/事務所入口(会社名表示)/執務室・応接スペース/業者票・報酬額表

期限と届け先の確認

期限注意点
同一県内での移転・増設
(変更届の場合)
変更があった日から30日以内
30日を超えてしまうと、遅れた理由や改善の意思を記載した「始末書」や「顛末書」の提出が求められる
県外への移転・増設
(免許換えの場合)
新たな事務所で営業を開始する前標準審査期間が90日間かかるため、新事務所のオープン予定日から逆算して余裕を持って申請する必要があり
パターン提出先(届け先)主な提出方法と注意点
千葉県知事免許のまま
(同一県内の移転・増設)
千葉県庁
(県土整備部 建設・不動産業課)
窓口への持参、または電子申請(eMLIT)<br>※千葉県では、令和7年1月1日から電子申請の受付が開始されました。<br>※事務所要件の確認が必要な届出(移転・新設)は郵送不可です。
国土交通大臣免許へ変わる(県外への増設)
※既に大臣免許の場合も含む
関東地方整備局電子申請(eMLIT)または郵送令和6年5月25日より、大臣免許の手続き窓口が都道府県経由から「関東地方整備局への直接提出」へ変更されました
他県の知事免許へ変わる
(県外への移転)
移転先の都道府県庁各都道府県のルールに従う(持参、郵送、電子申請など、事前に移転先へ要確認)

現在、国や自治体で「eMLIT(国土交通省手続業務一貫処理システム)」を利用したオンライン申請が推進されています。

千葉県でも、令和7年1月から電子申請がスタートしており、また、大臣免許の提出先が関東地方整備局へ直接提出に変わるなど、従来の手続きから変化している部分があります。

同一県内で本店(主たる事務所)を移転する場合の手続き

同一県内で本店(主たる事務所)を移転する場合の手続きについて、特に注意すべきポイントを整理して解説します。

変更届出書の提出先・期限

提出期限移転した日から30日以内
提出先
(千葉県知事免許の場合)
千葉県庁
(県土整備部 建設・不動産業課)
提出方法
(千葉県知事免許の場合)
窓口への持参、または電子申請(eMLIT)

免許証に記載されている本店所在地が変わるため、変更届と同時に「免許証書換え交付申請」も行う必要があります。

【重要】 千葉県知事免許の場合、主たる事務所の移転など「事務所要件の確認」が必要となる届出は郵送での提出ができません

主たる事務所移転の必要書類一覧(千葉県知事免許の場合)

必要書類備考・注意点
(電子申請・紙申請共通)
様式第三号の四(事務所)
※変更届出書
・紙申請(窓口)の場合は用紙に記入して提出
電子申請(eMLIT)の場合はシステムへ直接入力するため、様式データの添付は不要
履歴事項全部証明書【原本】
(※法人のみ必要)
・移転した日付(変更日)が登記されているもの・届出受付日前3ヶ月以内に発行されたもの・電子的な証明書は利用不可です。
事務所を使用する権原に関する書面・賃貸借契約書など
・契約相手が物件の所有者と異なる(転貸借契約の)場合は、所有者が使用を承諾していることを証明する書類(転貸承諾書など)も必要
事務所までの案内図・最寄り駅から事務所までの経路などを記載した地図
事務所の内部及び外部がわかる写真・建物外観、入口までの経路、事務所入口、内部などを詳細に撮影した3ヶ月以内のカラー写真
【重要】撮影前に必ず「業者票」の所在地等を新住所に書き換え、それが判別できるように撮影してください。
事務所の平面図・間取り図・机や応接スペースの配置がわかる図面
・他業務と兼業する場合は、宅建業のスペースを枠線で囲むなどして区別する
免許証書換え交付申請書・免許証の住所を書き換えるための申請
変更届と併せて必ず手続きを行う
・電子申請の場合はシステムへ直接入力
旧免許証(現在の免許証)・手元にある現在の免許証の原本
電子申請の場合でも、後から郵送(または窓口持参)で提出する必要あり
返信用封筒
(レターパックプラス 赤)
電子申請の場合でも、旧免許証とともに郵送(または持参)する必要があり
電子申請チェックリスト
(※電子申請の場合のみ)
・電子申請を行った後、所定のチェックリストを出力し、旧免許証等と一緒に郵送(または持参)

「法務局の本店移転登記」と「宅建業の届出」はどっちが先か?

宅建業の変更届を提出する前に、まずは法務局で「本店移転登記」を完了させる必要があります。

宅建業の変更届には、移転年月日が反映された「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」の原本を添付しなければならないため、法人登記の手続きが先になります。

ここで非常に間違いやすいのが、期限の起算日です。

履歴事項全部証明書に変更日が記録される場合、宅建業の変更届の期限は「登記が完了した日」からではなく、「実際に移転した日(変更日)」から30日以内となります。

法務局での登記手続きそのものに数日〜2週間程度かかることがあります。

司法書士への登記依頼が遅れると、宅建業の「30日以内」という届出期限に間に合わなくなる恐れがあるため、移転日が決まったら、速やかに司法書士と連携し、登記手続きを最優先で進めることが重要です。

見落としがちな「事務所の独立性」

先ほど解説した通り、宅建業の事務所は「継続的に業務を行える独立した施設」であることなど、要件が厳格に求められます。

移転の届出時には、新事務所が要件を満たしていることを証明するため、以下の点にも注意して書類を準備してください。

  • 市街化調整区域内の事務所設置
  • 事務所を使用する権原(契約形態)の確認
  • 業者票・報酬額表の表示変更と写真撮影

移転先の所在地が「市街化調整区域内」にある場合、その建物が適法に建てられたものであるかを示すため、建築確認が取れていることがわかる書類の添付が求められます。

また、事務所を賃貸借契約している場合、契約相手が物件の所有者と異なる(転貸借契約の)時は、所有者が転貸を承諾していることを証明する書類(転貸承諾書など)も必要になります。

他にも、見落としがちなものとして、届出には事務所の内部・外部の写真が必要ですが、業者票(宅地建物取引業者票)の表示事項(主たる事務所の所在地など)は、行政への届出前であっても新住所等に速やかに書き換えて掲示し、その状態の写真を撮影して提出する必要があります。

表示が古いままの写真を提出すると、再提出を求められるため、注意してください。

支店(従たる事務所)を同じ県内に新設する場合の手続き

既存業者様が支店(従たる事務所)を新たに設ける場合、単に「新しい場所を借りました」という事務所の変更届だけでは手続きは完了しません。

新事務所を適法に稼働させるためには、「人員の確保」と「資金(保証金)の準備」という2つの重要な要件を満たすことが必要です。

支店(従たる事務所)新設の必要書類一覧

区分必要書類備考・注意点
(電子申請・紙申請共通)
事務所様式第三号の四(事務所)
※変更届出書
・紙申請(窓口)の場合は用紙に記入
・電子申請(eMLIT)の場合はシステムへ直接入力
事務所履歴事項全部証明書【原本】法人かつ「支店の登記」をした場合のみ必要
<3ヶ月以内の原本>
事務所事務所を使用する権原に関する書面・賃貸借契約書など。
・転貸借契約等の場合は、所有者の転貸承諾書等も必要
事務所事務所までの案内図・最寄り駅から事務所までの経路を記載した地図
事務所事務所の内部及び外部がわかる写真・建物外観、入口までの経路、事務所入口、内部等を詳細に撮影した3ヶ月以内のカラー写真
事務所事務所の平面図・間取り図・机や応接スペースの配置がわかる図面
政令使用人様式第三号の四(政令使用人)
※変更届出書
・電子申請の場合はシステムへ直接入力
政令使用人履歴事項全部証明書【原本】「支配人の登記」をした場合のみ必要
就任日がわかるもの
政令使用人5条1項各号に該当しない旨の誓約書・政令使用人本人が欠格事由に該当しない旨の誓約書
政令使用人新たに就任した政令使用人の略歴書・他法人で非常勤役員等を兼ねる場合は、非常勤証明書が必要
政令使用人身分証明書【原本】・本籍地の市区町村で発行(3ヶ月以内)されたもの
政令使用人登記されていないことの証明書【原本】・法務局で発行(3ヶ月以内)されたもの
電子的な証明書は不可
政令使用人代表者等の連絡先に関する調書・事務所の電話番号ではなく、個人の連絡先を記載
専任宅建士様式第三号の四(専任の宅建士)※変更届出書・電子申請の場合はシステムへ直接入力
専任宅建士専任の宅地建物取引士設置証明書・設置する人員の状況を証明する書類
専任宅建士新たに就任した専任宅建士の略歴書政令使用人と専任の宅建士を兼任する場合は提出不要(No.10の略歴書で兼ねるため)
・他法人で非常勤役員等を兼ねる場合は、非常勤証明書が必要

専任の宅地建物取引士の配置要件

宅建業法により、事務所にはその規模や業務内容に応じて、「業務に従事する者5名につき1名以上」の割合で、成年者である専任の宅地建物取引士を設置することが義務付けられています。

支店を新設する場合も当然この要件を満たす必要があり、新事務所の変更届と併せて「専任の宅地建物取引士の就任」の変更届(30日以内)を提出しなければなりません。

届出における重要なチェックポイントは、以下の2点です。

  • 事前に個人の「資格登録簿の変更」を済ませておく
  • 政令で定める使用人(支店長など)との兼任

新たに就任する専任の取引士は、会社としての届出を行う前に、取引士個人の手続きとして、登録している都道府県へ「資格登録簿の変更(従事先の変更等)」を完了させておく必要があります。

また、新設する支店には、契約締結権限等を持つ「政令で定める使用人」も設置する必要があります。

この政令使用人が要件(常勤できるなど)を満たしていれば、専任の宅地建物取引士を兼任することが可能です。

従来、専任の取引士が就任する際には「身分証明書」や「登記されていないことの証明書」の提出が必要でしたが、令和6年5月25日よりこれらの提出が不要となりました。現在は、設置証明書、略歴書、取引士証の写し等で手続きが可能です。

営業保証金・弁済業務保証金分担金の追加納付

支店が増えるということは事業規模が拡大し、消費者との取引機会も増えることを意味します。

そのため、万が一の際の消費者保護を目的として、事業を開始する前(または新設後すぐ)に、増設した事務所の数に応じた保証金の追加納付が法律で義務付けられています。

項目営業保証金
(保証協会未加入)
弁済業務保証金分担金
(保証協会加入)
納付先法務局保証協会
納付額
(従たる事務所1か所につき)
500万円30万円(+加入協会の入会金・年会費等が別途発生する場合あり)
納付期限事業開始前に供託し、免許権者へ届出事務所設置日から2週間以内
期限を過ぎた場合社員資格を喪失。1週間以内に法務局へ営業保証金(本店1,000万円+支店500万円等)を再供託する必要あり

保証協会に加入していれば納付額は30万円と安く済みますが、事務所設置日から2週間以内という短い期限があり、過ぎると社員資格を失い法務局への高額な営業保証金供託に切り替わります。

営業保証金の場合は500万円と高額ですが、営業開始前に供託・届出を済ませればよい形です。

費用面では保証協会の加入が有利ですが、期限管理のリスクが高くなる点には注意しましょう。

保証協会(ハト・ウサギ)への届出について

宅建業の事務所を移転・増設する際は、県庁などの行政窓口だけでなく、加入している保証協会(ハトマークの「全国宅地建物取引業保証協会」やウサギマークの「不動産保証協会」)への手続きも忘れてはなりません。

移転と増設における保証協会での手続きの違いと、県庁の手続きと同時並行で進めなければならない理由について、分かりやすく解説します。

移転の場合は「住所変更の届出」だけで済む

事務所の場所を移すだけで、会社全体の事務所の数が増えない場合、保証協会に対する手続きは比較的シンプルです。

  • 手続きの内容:保証協会に対して、新しい所在地などを申告する「変更の届出」を提出
  • 費用の有無:事務所の総数は変わらないため、弁済業務保証金分担金の追加納付は不要

ただし、県外へ移転して管轄が変わる(免許換えとなる)場合は、保証協会内でも所属本部が変わるなどの特別な手続きが必要になることがあるため、必ず事前に協会へ確認してください。

増設の場合は分担金・保証金の納付が発生する

新たに支店や営業所を追加する場合、事業規模が拡大し消費者との取引も増えるため、保証協会への「追加費用」と「期限」が設けられています。

  • 必要な費用:従たる事務所(支店)を1か所増設するごとに、「弁済業務保証金分担金 30万円」を保証協会へ追加で納付する必要があり
  • 納付の期限:新たに事務所を設置した日から「2週間以内」に納付

この「2週間以内」の期限を過ぎてしまうと、保証協会の社員としての地位を失ってしまいます。地位を失うと、多額の「営業保証金(本店1,000万円+支店500万円)」を直接法務局へ供託し直さなければならなくなるため、注意が必要です。

県庁手続きと同時並行で進めないと開業日がずれる理由

「まずは県庁の変更届や免許換え申請を終わらせてから、後でゆっくり保証協会の手続きをしよう」と考えていると、新事務所の開業日(営業開始日)が大きく遅れる原因になります。

主な理由は以下の通りです。

理由①:免許換えの場合、保証協会の手続きが終わらないと「新しい免許証」がもらえない

県外への移転や増設などで新たに免許を受け直す(免許換え)場合、県庁等で書類の審査が通っただけでは、新しい免許証は交付されません。

 新しい免許証を受け取るには、「業者が保証協会へ分担金を納付した」という報告が、保証協会から行政(県庁や地方整備局など)に届いている必要があります

 県庁の審査と並行して保証協会への手続き(変更や分担金納付)を進めておかないと、新しい免許証の交付が滞り、新事務所のオープンが遅れてしまいます。

理由②:増設の場合、納付・届出を済ませないと「事業を開始できない」

同一県内で事務所を増設する場合も、法律上「事務所ごとに保証金(または分担金)を納め、その届出を済ませてからでないと、その事務所で営業を始めてはいけない」というルールがあります。

保証協会に加入している場合は設置から2週間以内という納付期限がありますが、この期限内であっても、実際に営業を開始できるのは「県庁への届出(専任の宅建士の設置届など)」と「保証協会への分担金納付」の両方が完了してからです。

どちらか一方だけでは営業を始められないため、2つの手続きは必ずセットで進める必要があります。

上記の理由から、新事務所のオープン予定日が決まったら、「県庁への手続き」と「保証協会への手続き」は常にワンセットと認識しておきましょう。

両方の窓口へ同時に事前相談を行い、必要書類を並行して準備することで、事務所増設をスムーズに進めることができます。

都道府県をまたぐ移転は「免許換え」が必要

都道府県をまたぐ事務所の移転や増設を行う場合、単なる「変更届」では済まず、「免許換え」という大掛かりな手続きが必要になります。

「免許換え」とは、事務所の所在地が変わることにより、管轄する免許権者(都道府県知事や国土交通大臣)が変更になる場合の手続きです。 手続き上は「新たな免許の取得」となるため、新しい免許の交付を受けた時点で、現在の免許は効力を失います

現在の免許移転・増設のケース(例)新たな免許権者必要な費用審査期間の目安
千葉県知事千葉県の事務所を廃止し、東京都にのみ事務所を移転東京都知事
(他県知事)
申請手数料
(移転先へ納付。例:3万3千円)
約30〜40日
(※移転先により異なる)
千葉県知事千葉県に本店を残したまま、東京都に支店を増設国土交通大臣登録免許税 9万円(国へ納付)標準90日間
国土交通大臣東京と千葉の事務所のうち、東京を廃止し千葉のみにする千葉県知事申請手数料
(千葉県へ納付。3万3千円)
約30〜40日
(※千葉県へ要確認)

他県知事になるケース

会社全体としての事務所数は増えないため、保証金の追加納付は不要です。ただし、移転先の都道府県に対する「申請手数料」が必要になります。

国土交通大臣になるケース

複数の都道府県にまたがって事務所を設置することになるため、管轄が大臣に変わります。この場合、国税として「登録免許税9万円」の納付に加え、事務所が増える分の**保証金の追加納付(または分担金の納付)**が必要になります。

免許換え申請中は、新しい免許が交付されるまで(または保証協会等の手続きが完了するまで)、新事務所での営業は一切開始できません
特に大臣免許へ変わる増設の場合、申請からオープンまで3ヶ月以上のリードタイムを見込む必要があります。

免許換え(国土交通大臣免許)に必要な書類一覧

申請書・基本情報に関する書類

必要書類対象備考・注意点
免許申請書(第一面〜第五面)全員オンライン申請(eMLIT)を利用する場合はシステムへ直接入力
履歴事項全部証明書【原本】法人受付日前3ヶ月以内に発行されたもの
電子的な証明書は不可
住民票(マイナンバー記載なし)個人受付日前3ヶ月以内に発行された原本
5%以上の株主・出資者等の名簿法人該当者がいない場合も、余白に「該当なし」と記載して提出が必要

「人」に関する書類(役員・政令使用人・宅建士)

必要書類対象備考・注意点
誓約書全員欠格事由に該当しない旨の誓約書
身分証明書【原本】役員等本籍地の市区町村で発行。受付日前3ヶ月以内のもの
登記されていないことの証明書【原本】役員等法務局で発行。受付日前3ヶ月以内のもの
電子的な証明書は不可
略歴書役員等役員・政令使用人用と、専任宅建士・顧問等用がある
代表者等の連絡先に関する調書役員等事務所の番号ではなく、個人の連絡先を記載
専任の宅地建物取引士設置証明書全員事務所ごとに、従事する人数と専任宅建士の要件を満たしている証明
専任の取引士の「取引士証」の写し全員表・裏の両面のコピーが必要
従事する者の名簿全員申請日時点の内容で事務所ごとに作成

表内の「役員等」には、代表者、取締役、監査役、政令使用人、相談役、顧問などが含まれます。
★【最新の法改正】 令和6年5月25日より、「専任の宅地建物取引士」個人の身分証明書および登記されていないことの証明書の提出は不要となりました。

「事務所」に関する書類

必要書類対象備考・注意点
事務所を使用する権原に関する書面全員賃貸借契約書など。転貸借契約の場合は、所有者の転貸承諾書等も必要
事務所付近の地図(案内図)全員最寄り駅等からの経路を明示した地図
事務所の平面図・間取り図全員机や応接スペースの配置がわかる図面。写真の撮影方向の矢印も記載
事務所の写真全員外観、入口(会社名表示)、内部の執務室や応接室、業者票等のカラー写真(3ヶ月以内撮影)

「財務・実績」に関する書類

必要書類対象備考・注意点
宅地建物取引業経歴書全員直前5年間の実績等。実績がない場合も「実績なし」として提出必須
決算書の写し法人直前1年分(表紙、貸借対照表、損益計算書)
新設法人は「開始貸借対照表」
資産の状況を示す書面個人個人申請の場合のみ作成
納税証明書(その1)【原本】全員税務署発行の直前1年分のもの
新設法人は不要

費用・提出に関する書類

必要書類対象備考・注意点
登録免許税(9万円)の領収証書全員国税として納付し、その領収証書の原本を免許申請書の第五面に貼付
郵送チェックリスト・返信用封筒全員eMLITでのオンライン申請であっても、書類の郵送や新しい免許証受け取りのために必要

大臣免許への免許換えの場合、国税として9万円の登録免許税がかかりますが、これは「収入印紙」では納付できません
事前に税務署や金融機関等で現金で納付し、その「領収証書」の原本を申請書に貼り付ける必要があります。また、オンライン申請(eMLIT)を利用する場合であっても、この領収証書等は別途郵送しなければならないため注意が必要です。

手続きを自分で行う場合の注意点とよくある失敗

行政書士などの専門家に依頼せず、自社で事務所の移転や増設の手続き(変更届)を行う場合、費用を抑えられるメリットがある一方で、特有のルールや順番を知らないことによる手続きの遅れや差し戻しが起こりやすくなります。

業者様がご自身で手続きを行う際によく陥る「4つの失敗パターン」と、その「対策」について、分かりやすく解説します。

失敗パターン①:期限超過「登記完了」を待って期限切れになる

最も多い失敗が、法務局での本店移転登記の完了を待ってから届出しようとして、届出期限「30日以内」を過ぎてしまうケースです。

届出期限は登記完了日ではなく「実際に事務所が移転した日」から30日以内なので、注意が必要です。

超過すると始末書の提出が必要になり、悪質な場合は次回の免許更新に影響することもあります。

失敗パターン②:必要書類の不備(証明書の期限切れ・写真のNG)

2つ目は、「以前取得した証明書をそのまま流用する」「移転前の『業者票』が写ったまま撮影する」「夜間撮影で不明瞭な写真を提出する」といったケースです。

公的証明書は発行から3ヶ月以内の原本が必須で、写真は届出前でも業者票の記載を新事務所の内容に書き換えてから撮影する必要があります。

古いままの写真や不明瞭な写真は再提出(撮り直し)になるため、注意しましょう。

失敗パターン③:事務所要件の未達による「受付不可」

3つ目は、「賃貸借契約書の用途が『住居専用』になっていた」「他社と同室でパーテーション区切りにしたら独立した出入口がなく、他社スペースを通らないと入れない構造だった」というケースです。

事務所として使うには契約書の用途が「事務所」や「店舗」であること、他社との同居・自宅兼用では専用の出入口や明確な間仕切りといった独立性を満たすことが必須で、この審査は非常に厳格です。

契約前に間取り図を持っていき、管轄窓口へ事前相談するのが確実な対策です。

失敗パターン④:「人」の変更手続き漏れ(宅建士の資格登録簿)

4つ目は、支店に配置する専任宅建士の登録情報(住所や勤務先)が古いまま就任届を出そうとして、会社の届出が進められなかったケースです。

宅建士の勤務先や住所が変わる場合、まず本人が「資格登録簿の変更登録申請」を済ませておく必要があります。

個人の変更手続きと会社の変更届(専任宅建士の設置)は連動しているため、順番を間違えないよう社内で連携しておきましょう。

自分で手続きを行う際のポイント

「①移転日(変更日)が決まったら即座に法務局の登記準備を始めること」「②物件契約前に事務所の要件(独立性など)を行政の要項と照らし合わせること」の2点が重要です。

近年は電子申請(eMLIT)も導入され便利になっていますが、申請の順序や期限のルール自体は変わらないため、スケジュールには十分な余裕を持って臨みましょう!

不動産実務がわかる行政書士に依頼するメリット

ここまでの解説で、事務所の移転や増設には、厳格な事務所要件のクリアから、登記手続きとの連携、30日以内という厳しい届出期限の遵守まで、複雑な実務が伴うことがお分かりいただけたかと思います。

これらを自社で行うと、通常業務を圧迫するばかりか、少しのミスや書類の不備で新店舗のオープンが遅れるという致命的なリスクを抱えることになります。

そこでおすすめしたいのが、「不動産実務に精通した行政書士」へのご依頼です。

不動産実務がわかる行政書士に依頼する3つのメリット
  • 「空家賃」や「オープン遅れ」のリスクを回避できる
  • 面倒な書類収集から図面作成・写真撮影まで、まとめて依頼できる
  • 本業である「不動産営業」に専念できる

それぞれ、解説していきます。

1. 「空家賃」や「オープン遅れ」のリスクを完回避できる

行政書士にご依頼いただければ、移転・増設のパターン(同一県内か、免許換えか)に応じて、スケジュールを正確に逆算して手続きを進めます。

近年導入された「eMLIT(イーエムリット)」を用いたオンラインでの代理申請にも対応しており、審査の差し戻しを未然に防ぐことで、予定通りのオープンを確実にします。

2. 面倒な書類収集から図面作成・写真撮影まで、まとめて依頼できる

発行から3ヶ月以内という有効期限が厳格に定められている「身分証明書」や、「登記されていないことの証明書」などの収集から、要件を満たす「間取り図・平面図の作成」「事務所の写真撮影」まで、面倒な作業はお任せください。

3.本業である「不動産営業」に専念できる

役所への事前相談や提出、保証協会への連絡などをすべてお任せください。

社長様や担当者様は、新事務所のオープン準備やお客様への営業活動など、売上に直結する本業に集中していただけます。

事務所の移転・増設手続きは、ただの「引越しの届出」ではありません。

「手続きの順番が分からない」「忙しくて書類を集める時間や図面を書く時間がない」という業者様は、宅建士でもある不動産実務に強い「さえぐさ行政書士事務所」へぜひご依頼ください。

よくある質問

事務所移転の届出は誰が出しますか?

原則として免許を受けている「宅建業者自身」ですが、実務上は「行政書士」に依頼(代理申請)するのが一般的です。

宅建業法上、変更があった日から30日以内に届出を行う義務があるのは宅建業者ご自身です。しかし、これまでの解説の通り、移転時には要件を満たす図面の作成や厳密な写真撮影、法務局での登記手続きとの連動など、専門的な実務が伴います。そのため、手続きの不備によるオープン遅れを防ぐため、不動産手続きに精通した行政書士に委任し、電子申請(eMLIT)などを通じて代理提出してもらうケースが多くなっています。

移転先が決まる前に届出できますか?

できません。移転先と契約し、事務所の設備が整い、実際に移転した「後」に届け出る必要があります。

行政への届出(変更届)には、新事務所を適法に使用できることを証明する「賃貸借契約書等」や、机や電話、業者票などが設置された状態の「事務所の内部・外部の写真」、「平面図・間取り図」などの添付が必須となります。そのため、「これからここに移転する予定です」という段階では受付されません。事務所としての形態が完成し、実際に移転した日から「30日以内」に手続きを行ってください。

増設時の営業保証金はいくら追加が必要ですか?

支店(従たる事務所)を1か所増設するごとに、保証協会加入業者は「30万円」、未加入業者は「500万円」の追加資金が必要です。

加入状況によって、準備すべき金額が大きく異なります。

保証協会に加入していない場合: 支店を1か所新設するごとに、管轄の法務局へ「営業保証金 500万円」を供託する必要があります。

保証協会(ハトマーク・ウサギマーク等)に加入している場合: 法務局への供託が免除される代わりに、加入している協会へ「弁済業務保証金分担金 30万円」を納付します。

宅建業の事務所移転・増設手続き完全ガイド【千葉県版】 まとめ

宅建業の事務所移転・増設手続きは、単なる「引越しの届出」ではありません。

  • 同一県内か県外かによる手続きの違い
  • 厳格な事務所要件のクリア
  • 30日以内という届出期限の遵守
  • 保証協会への分担金・保証金の納付

上記のような、複数の要件を正しい順番でクリアしていく必要がある実務です。

特に、法務局での登記手続きとの連携や、事務所の独立性を証明する図面・写真の準備、県庁への届出と保証協会への手続きを並行して進めることは、初めて対応する業者様にとって想像以上に手間がかかり、少しの見落としが新店舗のオープン遅れに直結します。

「手続きの順番が分からない」「本業が忙しくて書類収集や図面作成の時間が取れない」という業者様は、宅建士でもあり不動産実務にも精通した「さえぐさ行政書士事務所」へ、ぜひお気軽にご相談ください。

今しばらくお待ちください!

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