建設業者が宅建業免許を追加取得する方法│千葉県・専技兼任・定款変更を徹底解説

「建設業の許可はあるのに、宅建業免許は別に必要なのですか?」
「うちの専任技術者に宅建士を兼ねてもらえますか?」

建設業を営む法人から、このようなご相談をよくいただきます。

土地の仕入れや建売分譲を事業として行う場合、建設業許可とは別に宅建業免許が必要です。既存の法人は、定款の目的に不動産業が入っていなければ変更が必要で、専任の宅建士の配置も求められます。

この記事では、千葉県で建設業者様が宅建業免許の追加取得する場合の流れと注意点を解説していきます。

目次

建設業者が宅建業免許を取得するメリット

「宅建業の免許を取れば、なんとなく儲かりそうだな」

このように考えて宅建業を始めたい企業様がほとんどだと思います。

建設業と宅建業(不動産業)は非常に相性が良く、すでに自社で持っている強みを最大限に活かして利益を増やすことができる組み合わせです。

「いまいち宅建業の仕組みがよくわからない」という方に向けて、ここでは建設業者様が宅建業を始める2つのメリットを解説します。

仲介手数料の削減と利益率のアップ

家を建てる際、お客様のほとんどはまず「土地探し」からスタートします。

この土地探しの仲介手数料(2,000万円の土地で約72万円)は、宅建業免許がなければ他社である不動産会社の収入になります。

しかし、宅建免許を取得すれば、土地の仲介手数料と建築請負代金を1人のお客様からいただけるうえ、建売住宅やリノベーション物件も自社で販売できます。

このように、これまで他社に流れていたお金を、自社の利益に変えることができるのです。

事業の多角化による安定経営

建設業はどうしても天候や季節、職人さんの確保状況、あるいは昨今のような資材価格の高騰など、外部の要因によって工期や売上が左右されやすい側面があります。

「今月は現場が重なって忙しいけれど、先の売上の見通しが少し不安だ…」と感じることもあるのではないでしょうか。

宅建業を追加することで、この「売上の波」を穏やかにすることができます。

不動産の売買仲介は現場の工期に関わらず、契約が成立すればまとまった手数料が入金されます。

さらに、アパートなどの「賃貸管理」まで手を広げれば、毎月一定の手数料が入ってくる「継続収入(ストックビジネス)」の柱を作ることも可能です。

中古物件を購入されたお客様から、そのままリフォームも依頼されるケースは少なくありません。工事だけでなく売買の収益も加わるため、収入源を増やすことにもなります。

建設業者が宅建免許を取得する際の注意点と対策

建設業の「営業所技術者(特定営業所技術者を含む)」と、宅地建物取引業の「専任の取引士(宅建士)」の兼任については、以下のような規定が定められています。

【原則】兼任は不可
【例外】同一の営業所(事務所)内であれば兼任可能。

営業所技術者は、その営業所に常勤して専ら業務に従事することが求められています。

そのため、宅地建物取引業免許における「専任の取引士(宅建士)」や建築士法の「管理建築士」など、他の法令によって常勤(専任)が義務付けられている役職と兼任することは原則として禁止されています。

ただし、 「建設業において常勤を要する営業所」と「他の法令(宅建業など)により専任を要する事務所」が同一の場所(兼ねている場合)である場合に限り、例外的に同じ人が両方の役職を兼任することが認められています。

つまり、会社の建設業のオフィスと宅建業のオフィスが全く同じ場所(同じ店舗内)に同居している形態であれば、1人の人物が「建設業の営業所技術者」と「宅建業の専任の宅建士」を同時に兼ねることが可能です。

なお、この兼任規定は営業所技術者だけでなく、建設業の「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」についても全く同じ扱いになります。

別々の場所にオフィスを構える場合:それぞれの場所に専任スタッフが必要(兼任不可)。

1つのオフィスで建設業と宅建業を兼業する場合:要件を満たせば1人で「営業所技術者(又は経営業務の管理責任者等)」と「専任の宅建士」を兼任できる。

注意点:宅建業法上の事務所要件(独立性など)が絡むため、事前に管轄窓口への相談してください。

既存の建設業事務所に宅建業を併設する際の注意点

関東地方整備局(千葉県を管轄)の宅建業免許申請の手引き、および、千葉県の建設業許可の手引きに基づき、建設業と宅建業を同じ場所で兼業する場合の事務所の要件について解説していきます。

宅建業法の規定

まず、宅建業の規定では、事務所の「独立性」が重要視されています。

千葉県宅建業申請の独立ルール
  • 玄関を入った先は、他事業の専有部分を通らずに出入りできること
  • スペースの完全な分離(180cm以上のパーテーション)
  • 共有スペース(共有部屋)を応接室としての使用禁止

宅建業の事務所では、顧客や従業員がもう一方の業務スペースに立ち入ることなく、目的の事業スペースに直接出入りできるレイアウトでなければなりません。

たとえば、「建設業のスペースを通り抜けないと、宅建業のスペースに入れない(またはその逆)」という動線は事務所規定違反となります。

ただし、それぞれの出入り口が別にあることは必要ではなく、建物の外から入る大元の入り口(玄関)が1つであること自体は問題ありません。

また、同事務所で建設業と宅建業のスペースを仕切る場合、高さ180cm以上の不透明なパーテーション等でしっかりと仕切られ、それぞれが完全に独立している必要があります。ただ、机を分けているだけでは独立した事務所とは認められません。

他にも、建設業と宅建業の応接室の共有は不可とされており、独立性がないとみなされ認められていません。「建設業」「宅建業」それぞれの専有スペース内に接客用の場所を設ける必要があります。

建設業許可における規定

次に、 千葉県「建設業許可」における事務所の独立性の規定について解説します。

千葉県建設業許可の独立規定
  • 出入口が別会社等と混在せず、外部から判断可能である
  • 事務スペースが明確に区分されている
  • 電話、コピー機、パソコン等の事務機器が共有されていない

千葉県の建設業許可の規定においても、他事業と兼業する場合の独立性について以上のように明記されており、宅建業の規定とほぼ一致しています。

建設業許可の規定においても、電話、コピー機、パソコン等の事務機器が共有されていないことが要件となっています。

登記変更だけではNG!宅建・建設業で異なる「手続きの順番」

宅建業を始めたい建設業者は「宅建業免許の申請」と「建設業許可の届出」をそれぞれ行う必要があります。

このように、「宅建業の申請」をしてから「建設業の申請」をするという業務の順番がきちんと決められていますので、間違いないよう注意して進めていくことが大切です!

宅建業免許の申請に向けて必ずやること(事前の手続き)

宅建業免許を申請する時点で、履歴事項全部証明書の事業目的に宅建業の記載が必要です。

記載がなければ株主総会で目的の追加を決議し、議事録を作成して法務局で変更登記を行います。登記が完了したら履歴事項全部証明書を取得して、申請書類に添付します。

宅建業側の間違えやすいポイント
  • 事業目的の変更登記後でなければ、宅建業申請はできない
  • 「現在事項全部証明書」でなく「履歴事項全部証明書」を必ず取得する
  • 3ヶ月以内に発行された原本のみ有効

変更登記手続きには日数がかかります。「法務局へ登記申請中」の資料を提出しても、宅建業免許の申請は認められません。

必ず登記完了後の書類を提出してください。

また、よくある間違いとして証明書の種類間違いがあります。

法務局で取得する証明書は「現在事項全部証明書」ではなく、必ず「履歴事項全部証明書」を取得してください。

他にも、官公署に提出する書類には「3ヶ月ルール」というものがあり、申請受付日前3ヶ月以内に発行された原本に限られます。

登記が早く終わって「履歴事項全部証明書」をちゃんと取得したとしても、宅建業の事務所レイアウト工事などに時間がかかり、いざ宅建業申請窓口に行く時に発行から3ヶ月を過ぎて無効になってしまう(取り直しになる)ケースもけっこう見受けられます。

申請時には必ずチェックしておきましょう。

建設業許可側へ必ずやること(事後の報告手続き)

建設業許可業者として、定款を変更した書類を「千葉県の管轄土木事務所等」へ提出する必要があります。

事業目的変更後すぐに単独で変更届を出す必要はありません。

毎事業年度が終了した後、4ヶ月以内に提出する「事業年度終了届(決算終了届)」の際に、変更後の定款を添付して提出します。

建設業側の間違えやすいポイント

「原始定款」を使用する場合の議事録の添付漏れ

会社で現在の内容をすべて反映した「現行定款」を作り直している場合は、それと同一内容のものを提出すれば問題ありません。

しかし、設立時の「原始定款」をそのまま定款として提出して使用する場合は、事業目的を変更(宅建業を追加)した変遷がわかるように、必ず「株主総会の議事録の写し」も併せて添付しなければなりません。

これを忘れると不備となってしまいますので注意してください。

建設業許可申請と宅建業許可申請の違い

建設業宅建業
申請窓口主たる営業所を管轄する各地域の土木事務所県庁(建設・不動産業課)
標準処理期間45日約60日
申請時郵送の可否可不可

建設業許可と宅建業許可では、いくつか違いがありますのでご紹介します。

申請窓口については、建設業許可(知事免許)の窓口は県庁ではなく、主たる営業所を管轄する各地域の土木事務所です。

一方、宅建業は県庁(建設・不動産業課)が窓口です。

処理期間についてですが、宅建業が「約60日」であるのに対し、建設業許可の標準処理期間は「45日」と定められています。

また、申請時での違いとしては、建設業の紙申請は郵送での提出が受け付けられていますが、宅建業の紙申請は郵送での受付を一切行っていません。

窓口持参または電子申請のみとなっていますので、間違えないようご注意ください。

免許取得までの全体スケジュール(モデルケース)

宅建業の申請をした場合、審査期間は約60日(土日祝含む)となっています。

審査完了後は、会社宛に免許番号等が記載された通知が届きます。※この時点ではまだ営業を開始できません!

通知を受けた後、法務局へ「営業保証金(本店1,000万円)」を供託するか、「保証協会(本店60万円+入会金等)」へ加入する手続きを行います。

供託または保証協会加入の手続きが終わったことを千葉県へ届け出ることで、初めて「免許証」が交付され、宅建業の営業を開始できます。

最後に、次の決算日から4ヶ月以内に提出する建設業の「事業年度終了届」にて、定款を変更した旨を管轄の土木事務所へ報告します。

このように、宅建業は「申請して免許が下りればすぐ営業できる」わけではありません。

その後の保証協会加入手続き等も含めると、申請窓口に行ってから実際に営業開始できるまで2ヶ月半〜3ヶ月程度かかることを念頭に置いてスケジュールを組むことをおすすめします。


宅建業の許可は、書類の準備や確認事項が多く、慣れていないと手間がかかります。宅建士・行政書士の資格を持つ当事務所が、宅建業関連の手続きをまとめてお引き受けしますので、安心してお任せください。

お問い合わせ、心よりお待ちしております。

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